伝記ステーション   Art Bird Books

あの「夢」はどこからやって来たのだろう?

ノルマンディー上陸作戦:写真家ロバート・キャパと作家サリンジャー


つい先日、サリンジャーが91歳で亡くなったことが報じられました。1週間程前に彼のことを少し調べていたこともありびっくりしました。なぜ調べていたかというと、サリンジャー第二次世界大戦の激戦地のノルマンディー上陸と、ヨーロッパで最も悲惨な激戦地となったドイツのヒュルトゲンの森攻防戦の両地にいたことと、「ライ麦畑でつかまえて」とはどんな関係があるのか、などなどといったところです。ご存知のようにノルマンディー上陸作戦のあのブレた有名な写真を撮ったのはロバート・キャパでした。キャパは、第1歩兵師団第16連隊第2大隊E中隊に従軍しオマハ・ビーチに上陸、サリンジャーは特別情報部員として第四師団第12歩兵連隊の一員として、ユタ・ビーチに上陸しています。スピリバーグが映画でリアルに撮ったように激しい戦闘で、サリンジャーもあの場所にいたことを思えば、後に精神衰弱に陥り、30代前半からの隠遁生活(東洋思想・スリ・ラマクリシュナの思想や、禅を実践するためでもありましたが)と「ライ麦畑でつかまえて」などの主人公ホールデンの行動もなるほどなと、思わせます。ロバート・キャパと作家サリンジャーはともにユダヤ人です。2人とも戦争の真っただ中にいましたが、どこか醒めた眼で戦争を観察しています。サリンジャーは携帯タイプライターを持ち込んでいたらしく、時間があれば戦線にいても小説を書いていたようです。インスピレーションは、いろんな渦中にいながらも、もうひとつの”内なる眼”で観察していて、はじめて生まれでてくるものだと、ふとおもいました。