伝記ステーション   Art Bird Books

あの「夢」はどこからやって来たのだろう?

”道行”く者の姿

久しぶりの暖かさから一転、空模様が慌ただしい日です。
昨日は、銀座資生堂ギャラリーで、若手写真家・津田直氏の展覧会
「Smoke Line」を見、その足で歌舞伎座で一幕見してきました。
演目は「籠釣瓶花街酔醒」。
福助の花魁道行には思わず息を飲みます。魅せるに、徹した
魁道中は憧憬の無限の距離をうみだします。
ほだされ騙され花魁に狂った男の”もう一つの道行”は非情な結末で
すが、幸四郎の成りきりは見事。娘・松たか子を手放した親父の
心模様がどこか重なります。

松たか子といえば、新年そうそう渋谷コクーン劇場ではじまる
野田秀樹新作「HYPER」は見過ごせないです。松たか子
宮沢りえが野田氏のステージで火花をちらすようです。

津田直氏の写真は、中国・モロッコ・モンゴルの旅を3年の時を
かけて制作したものだそうです。地球上の3つの場所を、地球を
めぐり移動する「風」に着目して生み出した写真は、21世紀型の
風の又三郎」の予感か… ドッドッド、ドォ〜
自らが風と化して、世界に飛びだし、透明な風の道をたどって
”道行”く者の姿が確かにあった。

写真は、旅の幕をおろした時に、”再びの旅”が内側ではじまる
というまさにその証。そこに内側の風を通すために、写真は
2点の続きで構成され、そこに風が流れる余白をつくりだした。
白い風が流れた…