伝記ステーション   Art Bird Books

あの「夢」はどこからやって来たのだろう?

ハンス・ベルメールのインスピレーションとシンクロ


いっけん見慣れたアートの景色となったハンス・ベルメールのアートや写真、そして彼の創造の動機やその背景に触れてみると、再びイメージやイマジネーションがシャッフルされる機会になります。1930年代半ばに制作されだした人体を変形させた型破りな関節人形のフォルムは「健全なるアーリア民族」という行き過ぎたナチズムの健康志向への反抗だった(最初機の人形は破れた皮膚や剥き出しの木で球体間接はなかった)。32歳の時に少女の間接人形を撮った10枚の写真でつくった写真集「人形(Die Puppe)」を自費出版ブルトンらパリのシュールレアリストに激賞され、機関誌「ミノトール」の表紙にも掲載された。日本には1937年に雑誌「みずえ」にその写真が掲載され、後に1965年に澁澤龍彦が雑誌「新婦人」で球体間接人形を紹介し広く知られていった。現在、パリのポンピドー・センターで、シュールレアリスム写真展が開催されていて、マン・レイやクロード・カーン、ラウル・ユバックらの写真とともに展示されている。