伝記ステーション   Art Bird Books

あの「夢」はどこからやって来たのだろう?

ロバート・スミッソンの「エントロピー』インスピレーション


ランド・アートィストとして1960-70年代に世界を瞠目させたロバート・スミッソンの作品群。『エントロピー」は、この物理学上の言葉は、後に情報理論にも(コンピューターの生みの親の一人フォン・ノイマン)が、クロード・シャノンにこの「でたらめさ」の理論を提案し、情報化社会のキー概念の一つとしてひろがっていった。基本は以下のように用いる「分子が自由に動き回る気体は、分子が結晶格子に束縛されている固体よりも、エントロピーが大きい」。かつてのアートバードの店内の本の乱雑さは、エントロピーが増大しているように思えるが、本を構成する分子は棚にあろうが床にあろうが変わらないので、エントロピー量は同じということになる。小難しいことはさておき、ロバート・スミッソンはこうしたことをウィリアム・バロウズJ.G.バラードからそのセオリーの文学的・アート的転換の方法を一部得ていたようだ。ロバート・スミッソンは上の動画で「アート・コミュニケーションは空間を通してでなく、時間を通してもおこなわれる」と語ったが、先日ピックアップしているアイ・ウェイウェイの「テンプレイト」彫刻は、まさにここに通じる。しかし動画で見られる崩壊していく様々なものの様子は今の日本社会の現実を見るようなおもいだ。本来的にはそういう状況をエントロピーが増大している、とは言わないが、コーヒーに入れたクリームが混じり合ってもう元には戻らないように、社会・経済のシステムももう80年代や90年代には決定的に戻る事はない、景気という「気」を神の手であげることはかなわない、ということを多くの人が認識しはじめた、ということだろう。私はもともと時間を通したコミュニケーションを好む傾向が強く、アートバードがもともと新刊書籍にそれほど熱心じゃなかったのも自身の気質に原因している。