ロシアのソクーロフ監督「Oriental Elegy」inspiration
10年程前に見たロシアのアレクサンドル・ソクーロフ監督の「オリエンタル・エレジー」です。ツタヤでは昭和天皇の終戦前夜を描いた「太陽の帝国」など何本かはありますが45分の短編の部類に入る「オリエンタル・エレジー」はなくもう一度観たいと気にもんでいた一本です。上の動画は4つに分割された最後のものです。北の、さらに北の国から日本を見、感じる視線はやはり独特なものがあります。時折、世界地図を上下ひっくりかえして見ることが必要で、そうするとロシアだけでなくモンゴルや中国、朝鮮と、日本の地理的関係がしっかりはいってきます。いつも見る日本地図にあまりに慣らされてしまうと、今後縮小するばかりの日本の国土のなかでさらに気持ちも縮小してしまうにちがいありません。今年からは上下逆に、日本地図を見るように心がけたいとおもいます。動画は10分くらい長いのですが、後半の8分程のところから雲の中からぽっかり小さな島があらわれます。まるでタルコフスキーの映画「ソラリス』の最後の場面のようです。タルコフスキーはソクーロフを大いに認めていたので、ソクーロフはきっとそのイメージを思い浮かべていたにちがいありません。そうするとその島は、日本の島というより、寒国のロシア人たちが魂の中で想い描いていた想像の中の島にちがいありません。お婆さんたちは暗闇の中で、なんと幻想的な存在と化しているのでしょう。しかし同時にドキュメントの方法がとられているわけです。10年前の記憶では、ソクーロフは次のように言いました。「もし映画が日本で発展していったならば、映画はいまとはまったく異なるものになっていったはずです...」と。